学生レポート

マルタ語学研修

マルタ留学を通して

「国際コース学生 2年」

はじめに

本稿は2020年2月8日~3月8日のマルタでの短期語学留学を通して学んだことや感じたことについてまとめたものである。

マルタ留学を通して得たこと

4週間のマルタ留学を通して自分が身につけられた能力は英語を使ったコミュニケーション能力と率先して様々な国籍の人と関わる度胸である。マルタ滞在中に通ったシュプラッハカフェマルタ校(写真1参照)には放課後や休日に様々なアクティビティがあり、そういったアクティビティに参加して交流した。アクティビティ以外にもクラスメートでランチに行く機会や、フラットメート同士で交流する機会などが多くあった。留学開始直後は自分の語学力に自信がなく、英語を使って会話をすることに対して不安を感じていたが、語学力だけでなく、表情やジェスチャーで伝えられることも多く、英語を使ってコミュニケーションをとることを楽しいと感じることができた。そういった自信を積み重ね、クラスメートや学校のスタッフの人とのコミュニケーションだけでなく実際に町に出てショップの店員やバスの運転手と会話することも楽しむことができた。

 

授業の様子

マルタ留学では1日3コマの授業を受けた。午前の2コマは同じクラスメートと先生で行い、主に文法やリスニング、ライティングなどを重点的に学習した。毎週生徒が入れ替わりで変化するため、様々な国籍、年齢の人と関わることができた。毎週金曜日には1週間で行った単元のテストを行い、クラスのレベルを上げたり下げたりすることが可能だった。午後のインテンシブコースの授業では、何かのトピックを与えられ、グループやペアで自由に会話をするというスピーキングに特化した授業を行った。午前のクラスに比べると人数が少なく、英語を使って自分の経験や意見を話すなど、ネイティブがよく使うボキャブラリーについて学ぶことができた。毎日3コマ受けるにあたり、最初の方は聞いて理解することで精一杯だったが、次第に余裕を感じることができ、自分から積極的に発言するように変化した。留学後半は自分が会話の中心で話をまとめたりすることもできていたので、この留学を通して語学力が改善されただけでなく、自信にもつながった(写真2参照)。また、自身の経験や自分の住んでいる地域についてスピーチをする機会が多く、改めて日本について考える機会が多くあった。

マルタでの異文化体験

マルタでの滞在の目的の一つに異文化体験があったため、食事や観光など積極的に外に出て様々な価値観を得られるように意識して過ごすことができた。具体的には、地中海料理のなかでもウサギの肉を食べるという文化が興味深かった。もともとウサギを食べることについて抵抗があったものの、挑戦してみるとおいしく、貴重な体験だった。その他にもピザやパスタ、リゾットなどがあり、食について不自由を感じなかった(写真3参照)。

さらに、マルタではスーパーマーケットやショッピングモール以外の店は基本的に日曜日に休業しているところが多く、そのかわりに毎週日曜日の午前中のみマルサシュロックサンデーマーケットという朝市が開催されている。朝市に行くという経験も日本ではあまりなかったため、実際に行ってみると、とても活気があり、自分で値段交渉をするという貴重な経験をすることができた(写真4参照)。また、都市部とは離れた場所にあったため、アクセスの仕方も現地の住人やバスの運転手にたずねた。これらもすべて英語を使うため、授業とは違った日常的な会話で使う語学力を鍛えることができたと思う。こういった日常的な英語を使ったコミュニケーションからも自信を得られたので、分からないことを自分の中で留めるのではなく、詳しい人を探し、たずねることに対する抵抗もなくなり、積極的に話しかけることができるようになった。

 

 

マルタでの観光

マルタでの滞在では現地で出会った人と観光に行く機会が多くあった。新型コロナウイルスの影響で計画していたイタリア観光をやめ、マルタ国内で様々な場所に行くことができた。そのなかでも特に印象深かった場所が、ゴゾ島である。ゴゾ島はマルタ本土からフェリーで30分ほどの距離にある小さな島であり、夕日を見ることができる場所として地元の人に人気の場所である。しかし、観光スポットとしてはまだじゅうぶんに整備されていない場所だったため、公共交通機関で行くことが困難だった。バスなどを利用し、付近まで行ったものの迷うことが多く、地元の人に聞くことが多かった。しかし、なかにはマルタ語しか話すことができない人などもいたため、事前に英語を話すことができるかを聞いたり、マルタ語の表記になっている地名の発音を教えてもらったりなどしながら最終的にたどり着くことができた(写真5参照)。海外で場所を尋ねることの経験があまりなかったため、英語を話せるかの確認をすることなど実際に道を尋ねるときの注意点を学ぶことができた。結果的には英語を使いながらたどり着くことができ、充実した経験ができた。

マルタ留学による自身の変化

約一か月間のマルタ生活を通して新たに気付いたことは、自己主張の重要性である。日本で生活していると、察してもらうことが自己主張の手段であり、言葉にすることを避けてしまう傾向にあったが、マルタという異文化での生活では言葉にすることが最も正しい手段であり、また、言葉にしないことは自己主張をしていない、何も考えていないと判断されるということを学んだ。そう感じるきっかけとなった出来事が二つある。一つ目は、滞在先を変えたときである。ホームステイ先の過干渉や自身の体調不良などから、ホームステイという滞在方法が合わず、自分の中でホームステイがマルタでの生活の負担となってしまったとき、語学学校の日本人スタッフの人や留学に関する手続きを担当している窓口の人に相談した際に、自分が快適だと思う選択をすることが重要であるという助言を受けた。初めは、自分の嫌だと思うことや負担を伝えることに対してためらっていたが、そういった学校側の配慮もあり、学生寮に変えることができた。学生寮では、交友関係が広がったとともに自分の生活スタイルや一人で過ごす時間を確保し、リラックスして過ごすことができ、授業や学校生活に集中することができたため、ホームステイから学生寮に変えたことに対して正しい選択ができたと思う。二つ目は、留学中に世界的に流行していた新型コロナウイルスによるアジア人差別を受けたときなどに、自分は健康だということを伝える場面が多くあったということである。ジョークで言われる場面や、アジア人だからと言う理由でウイルスを持っているとみなされてしまうことが多くあったときに、黙り込むのではなく、自分は健康であることやマルタでの滞在が長いことを伝えることが重要だということを強く感じた。マルタでの生活の中で自己主張をすることの重要性に気が付くことができたとともに、実際に経験ができた。日本で生活するにあたり自己主張をする機会はなかなかないものの、海外では自分で我慢するのではなく、自分から進んで伝えることが大切だという認識を得られた。

おわりに

今回マルタに4週間滞在してみて、自分の中では2度目の海外経験であったが、1度目のアジア異文化研修と比べると自己判断をする場面がはるかに多く、自由だったとともに危機管理意識を一層強めて過ごすことができた。さらに、海外で単独行動をする力が付いた。また、予約をしたり、意見を伝えたり、質問を聞いて答えることなどといった当たり前のコミュニケーションを英語で行える語学力や意識を身につけ、自信を持つことができ、自分が所属する国際コースで求められる「旅する力」を養うことにつながった。旅する力を養ったことにより、今後海外に行く際には航空券を一人でとるなどといった大学のプログラムから自立した海外渡航をしたい。マルタ留学では語学力が向上し、自分の中の意識が大きく変わっただけでなく、今後自分が海外渡航をする際の基礎である旅する力を身につけられたと思うので、自分の中で大きな資産となった。